松野家の一族

2017年12月16日土曜日、前日のマリオ引っ越しパーティの二日酔いで苦しみながら空港行きのバスに乗る。兵庫県西宮市に向かう。バスの中で何度も吐きそうになった。なぜ兵庫県に向かうのかって?

以前のブログを読んだ人ならわかると思うが、私の親父の実家は兵庫県西宮市で、そこに叔母のY子さんが1人で住んでいる。彼女は間質性肺炎という病気を患っている。Y子さんは70歳で未婚。友達付き合いもなく、おばあちゃんが死んでからは、分譲マンションの一階で一人暮らし。彼女は片付けることが苦手で、部屋はとても汚い。

これが食事するテーブルである。汚い。

汚い部屋が原因かどうかはわからないが、Y子さんは間質性肺炎になってしまった。これは完治することが出来ない病気らしい。抗生物質を飲んで炎症を抑え進行を遅らせることはできる。彼女は、医者に部屋の片付けを勧められた。部屋のカビやホコリが、さらに肺炎を悪化させると言われたのだ。そして私に助けを求めた。なぜ甥っ子の私に来るのかというと、他の人はみんな死んじゃったからだ。Y子さんは5人兄弟。長男、長女、私の父、Y子さん、三男で、そのうちの、長男、私の父、三男は死亡、長女には縁を切られている。未婚で子供も孫もいない、親の親戚もほとんど死んでいる。そんな感じなので、甥っ子の私に話が回ってくるのだ。

私はこのおばさんのことが嫌いだ。常識知らずで、他人の感情を読み取ることの出来ないサイコパスだからだ。昔からずっとそうらしい。彼女の目は爬虫類のように真っ黒で、そこから希望の光は感じられない。冷たいビー玉が2個入っているみたいだ。多分前世はカエルかイグアナあたりだと思う。全力で自分のことしか考えずに生きてきたので、周りが全然見えない。「結婚してないし社会経験が少ないからしょうがない」とか「1人で寂しいからたまに来たときぐらい優しくしてあげよう」というこちらの思いやりの感情を、一瞬で無にして、逆に憎悪を湧き立たせるその言動は、すごい才能の持ち主だと思う。スタンド使いも真っ青だぜ…まぁとにかく…そんな人のところに掃除に行った。しょうがない、行かなきゃならないんだ。でもいいんだ、世の中には、もっと辛い介護をしている人もいる。これぐらいは、死んだ親父の親孝行だと思おう。

股を広げて、洗い物をするY子さん

間質性肺炎という病気は、肺の繊維がどんどんダメになっていって、呼吸がしづらくなってくる。Y子さんも常に息苦しそうで、1分ぐらい動くと、「はぁ~しんど、はぁ~しんど」と連発する。でもそれでは一向に掃除が捗らないので、キツくても、動いて支持してもらった。

これはY子さんが片時も離さない、血中酸素計測機である。

さてまず、壁中を防カビスプレーを散布し吹き上げる。

大量にあった本はカビの原因になるので、ほとんど処分していた。

なんだこの組み合わせは・・・。

ガランと空いた本棚を解体してほしいと言われたので、ベランダで盛大に叩き壊した。

バキバキ!!

日曜日の9:30だったので、隣のベランダから真っ先に苦情がきた。

おっさんは不愉快そうな顔で言う。

「日曜日の朝からうるさいよ!!」

「すみません〜すぐ終わるんで!」といい、構わずもうひとつの本棚も叩き潰した。

6畳の物置部屋は、モノで溢れかえって、床が見えない。

押入れの中を吹き上げ、備長炭の防カビシートを敷き、プラスティックのスノコをいれ、そこに油絵を収納した。

お婆ちゃんは60歳から油絵を始めた。

親戚の贔屓目を抜きにしても、お婆ちゃんの絵は上手いと思う。

6畳の物置部屋に馬鹿でかいドレス掛けがあった。

Y子さん曰く、かつて代議士さんからもらった高価なものらしいが、もうこんな大きいもの置いててもしょうがないので、捨てる決意をしたらしい。

重すぎたので民間業者に依頼した。解体料込み7000円で持って行ってくれた。

三面鏡は解体して、他のゴミと一緒に粗大ごみ持ち込みセンターに持っていった。

持ち込みセンターを2往復した。

その後、ダンボールの中身をY子さんとひとつづつ確認しながら、いるものといらないものに分けた。すると・・・床が見えなかった物置部屋が!!なんということでしょう~、こんなに広いスペースに変わりました~!!。

Y子さんもとても満足そうだった。

ご飯は徒歩2分のコープで買ってきた惣菜で済ませる。人の金だからこそできる、この贅沢買い!!

西宮に行ったときの楽しみは2つある。ひとつは、徒歩1分のパン屋「FRIANDE」。ここは美味しいので必ず行く。

もうひとつは、近所の双葉温泉。今回も二回行った。温泉入ってるときの脳内麻薬ヤバイ。我は温泉の国からやってきた温泉大好き人間である。身体中に染み渡る。掃除の疲れもY子さんから受けたストレスも吹き飛ぶ。温泉最高。

いつもはコーヒー牛乳一択だが、この日はエネルゲンを飲んでみた。美味かった。

今回私は、色々な事に改めて気付かされた。松野家のことが分かってきた。私のひいおじいちゃんである松野多喜蔵さんは、四国で旅館を経営していた。しかし、旅館の目の前に小学校が出来て、店は傾いた。多喜蔵の息子である、つまり私のおじいちゃんである松野孝男は、仕事を探して兵庫県今津市に出てきた。そこで自動車販売及び修理を始めた。戦後、自動車は飛ぶように売れ、家業は大儲け。Y子さんから聞いた話である。このような過去をみると松野家は経営者の家系のように見える。しかし、生前の父やおばぁちゃんを見てても、経営者というよりは、芸術家だと思った。おばぁちゃんは絵も歌もとても上手だ。親父も小さい頃から手先がとても器用でなんでも自分で作れた。図面も引かず頭の中で計算してパパッと作る。親父もおばぁちゃんも食うために一生懸命働いて生き抜いて来た人だ。もし、平和な世の中で生きていて、環境が良ければその素晴らしい才能を発揮できたかもしれない。

松野孝男(私のおじいさん)の若い頃の写真。

なぜか私の5歳の写真も出てきた。

私の名前の「宗」という字は、「一族の中心」という意味がある。無数の祖先の屍を経て私という存在があるならば、この肉体や精神は見えないところで祖先と繋がっているのだろう。自分の身体を粗末にすれば祖先が悲しむ。過去を知ることで、私自身を知ることができる。祖先が成し遂げられなかったことを知ることができる。進むべき道は、すでにこの身体に刻まれている。それに気付き、行動するんだ。

「ジョジョの奇妙な冒険」は、ジョースター家の血統を継ぐものの、奇妙な運命を描いている。私はこの物語が大好きだ。これを読む度に、私もジョジョのように誇り高く生きていくことを決意する。

最後に、写真の父とに挨拶して帰った。

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