「存在の裏付け」の日

ジョージの結婚式なんて、ずっと先のことだと思ってたけど、あっという間に終わってしまった。もしかしから、いつの間にか、人生の中盤に来てしまったのかなぁと呟いたら、隣で加ヶ美さんが「まだ始まったばかりだよ。人生これからだよ」と言ってくれた。

私には今はまだ想像できない。

結婚することも、子供ができることも。

でも、あっという間にそのときは来るのだろう・・・。

披露宴はホテルで盛大に行われた。300名が2人の祝福のために集まった。

存在というものは、あいまいなものだ。

ましてや、形のないものなど尚更だ。

みんなが「そこにある」と認識することで、存在は証明される。

2人の間で存在する「結婚」という存在を、時間と手間をかけて、盛大に儀式をして、大勢と共有する。

「みなさん、私たち、結婚しましたよ?ほら、親戚も知ってるし、署名もしました。一緒にキャンドルに火を灯したし、ケーキも切った。ね!?いいですか?もう一度言いますよ、私たち、結婚しました!」

こうすることで、結婚の「存在の裏付け」ができるし、2人の結婚に対する意識もより一層深まる。

さらに日頃から存在を意識し続けるために指輪をはめる。

結婚指輪もまた、外の人に知らせる役割と、自分に意識させる両方の意味合いがある。

儀式は、時間や手間がかかる。「わざと」そうしているのだと思う。

一連のプロセスを順番にこなしていくうちに徐々に存在を認識していく。

久しぶりにオールで飲んで、いまバスで帰って来た。

私たちは、彼らの結婚の存在を裏付けた。

「彼らは、結婚しました。とても幸せそうでした。」

彼ららしい、誠実で素晴らしい披露宴だった。

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